ジェンダー法学会

会員からのおたより

◎第5回学術大会の感想

  • ■プレ企画  12月7日
    <DV「夫殺し」と正当防衛>
    衝撃的とも思えるテーマは,社会構造に深く組み込まれた「ジェンダー」の問題を指摘するものです。沼崎先生が提供された裁判事例からは,夫からの暴力に追い詰められた被害者を,加害者にせず「被害者のまま救い出す」ことの大切さを痛感しました。一同が裁判官,検察官のジェンダー・バイアスの現況を共有し,改善の方策を議論している間は,外の寒さも忘れてしまうようでした。

    ■シンポジウムⅡ  12月9日
    <趣旨説明(広渡先生)>
    広渡先生の落ちついた柔らかな語りかけが印象的でした。プロイセン一般法には両性具有者の規定があったとのこと。我が国では21世紀になってGIDに関する法の整備が行われましたが,実は19世紀にあった規定の復活にすぎないとは意外でした。

    <「ジェンダー」概念の展開と有効性(三成先生)>
    ジェンダー法学を知って間がなく,歴史的な知識不足を感じていた折でしたので,ジェンダー法学に関する歴史的な流れを教えていただき,とても勉強になりました。三成先生のエネルギッシュで力強い語りかけに勇気付けられた気がします。

    <フェミニズム法理論が当面するもの(小島先生)>
    優しげな雰囲気の小島先生に,①男性中心の「法」運用がなされてきたことを是正する必要性,②「正義」の内容が時代によって変遷すること,を明解にお話いただいて勉強になりました。先生にはDVに関する論文も多く,私が「女性に対する暴力」を研究テーマとしていることもあり,注目している先生です。

    <日本社会とフェミニズムの法実践(角田先生)>
    百戦錬磨で一騎当千の弁護士でありながらも,気さくで気取らない角田先生。女性弁護士が1%に過ぎなかった時代から現代まで,事件を通して具体的にお話いただいた中に,この国の変わらない面を見たような気がします。先生の「目指していたところと今の行き着いたところは少し違うように思う」との含蓄あるご発言は,これからも考えていかなくてはならない部分のご指摘だと思います。先輩方の勇姿を拝し,頑張ることを誓える後輩でありたいと思います。

    <ジェンダー法学から見た憲法学の再構築(大西さん)>
    学術大会の最後に,西尾学術奨励賞を受賞されたフレッシュな大西さんが発表され,ジェンダー法学会の若手会員に対する期待がうかがわれました。しっかりした論述,質問のかわし方にはちょっぴり老獪さも感じさせる大西さん。将来が楽しみな方です。女性論には,憲法学的論述が最もフィットするように思います。

    川口律子(中央大学大学院法学研究科後期課程在学)

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